缶は一般廃棄物?産業廃棄物?分別方法は

缶って普段何気なく使っていますが、その種類や使い道、処理の仕方には実はたくさんの違いがあります。このブログでは、日本で使われている缶の種類や消費量、分別の方法などを詳しく解説していきます。アルミ缶やスチール缶、ブリキ缶のリサイクルの仕組みや、それぞれがリサイクルされることで得られるメリットについてもお伝えします。さらに、一般家庭と産業廃棄物としての缶の違いについても見ていきながら、未来に向けたリサイクルの課題や、アクト・エアが取り組むリサイクル活動にも触れていきます。

目次

日本における缶の種類

缶の消費量や用途

缶は、私たちの生活において欠かせない存在です。飲料や食品の保存、さらには化粧品や工業製品の容器としても使用され、私たちの身近なところで頻繁に利用されています。特に、アルミ缶やスチール缶は、軽量で扱いやすく、リサイクルも容易なため、多くの消費者や企業にとって選ばれやすい容器です。

日本における缶の消費量

日本において缶の消費は、年々増加傾向にあります。特に飲料缶の消費は多く、ビールや炭酸飲料、ジュースなどで広く使われています。日本アルミニウム協会のデータによると、日本国内でのアルミ缶の生産量は毎年数億缶に及びます。これは、世界的にもトップクラスの消費量です。

また、缶は食品の保存においても重宝されています。例えば、ツナ缶やトマト缶、果物の缶詰は、長期間保存が可能で、災害時の備蓄品としても人気です。缶詰の使用は、保存が効くうえ、風味や栄養を保ったまま長期間保存できるため、日常生活や非常時においても重宝されているのです。

用途の多様性

缶の用途は飲料や食品にとどまらず、化粧品、工業製品、さらには農業や医療分野にまで広がっています。例えば、化粧品業界ではスプレー缶が広く利用されており、制汗スプレーやヘアスプレーなどの製品が缶に充填されています。また、塗料や溶剤などの工業製品も缶に入れて保管・輸送されることが多いです。

缶の素材や形状を選ぶことで、さまざまなニーズに応じた製品を作ることができるため、缶はその多機能性が評価されています。

缶の種類

缶には、さまざまな種類があり、主にアルミ缶、スチール缶、ブリキ缶の3つが主流です。それぞれが異なる特性を持ち、用途によって使い分けられています。

アルミ缶

アルミ缶は、軽量で耐食性が高く、リサイクルが容易な素材として広く使用されています。特に飲料缶に多く採用されており、ビールや炭酸飲料、ジュースなどに使用されています。アルミ缶のリサイクルプロセスは効率的で、少ないエネルギーで再利用が可能です。

スチール缶

スチール缶は、主に食品の保存に使用されます。ツナ缶や果物の缶詰、トマト缶など、長期間保存が求められる食品に最適です。スチールはアルミよりも重さがありますが強度が高く、内容物を安全に保護できるため、食品や一部の飲料にも使われています。

ブリキ缶

ブリキ缶は、鉄にスズをコーティングしたものです。錆びにくく、食品保存に適していることから、昔から缶詰やペイント缶に使われてきました。スズのコーティングにより、腐食しにくいという特性を持っていますが、アルミ缶やスチール缶と比べると現代では使用頻度がやや少なくなっています。

ブリキ缶の用途は多岐にわたり、特に高級な食品缶や装飾缶に使われることがあります。また、ブリキの加工は装飾的なデザインを施しやすいため、特定の商品に付加価値を与えるためのパッケージとしても利用されています。

缶の分別方法

缶の分別は、リサイクルを進めるうえで非常に重要です。日本では、ほとんどの自治体で缶は「資源ごみ」として扱われますが、細かいルールは地域によって異なります。

アルミ缶とスチール缶の分別

通常、アルミ缶とスチール缶は別々に分別されて回収されます。アルミ缶はリサイクルが容易で、スチール缶は磁力を使って回収されます。したがって、缶を出す際は、アルミ缶とスチール缶をきちんと分けることが推奨されています。

街に設置されているゴミ箱でのアルミ缶とスチール缶の分別

街中に設置されているゴミ箱では、家庭ごみのようにアルミ缶とスチール缶が分けられていないことが多く見受けられます。これは、限られたスペースで効率的にゴミを処理する必要があるため、細かな分別が現実的でない場合があるためです。

しかし、回収された缶がそのまま混在した状態で廃棄されるわけではありません。自動分別機の技術が発達しており、リサイクル工場ではこの機械を使用してアルミ缶とスチール缶が効率的に自動で分別されています。自動分別機は、缶の素材に応じて異なる性質を活用し、例えば磁力を使ってスチール缶を選別し、アルミ缶とは別に回収する仕組みになっています。

そのため、街に設置されたゴミ箱では使用者がアルミ缶とスチール缶を分けなくても、最終的に工場で適切にリサイクルされるようになっているのです。このプロセスは人手を減らし、分別の精度を高めるため、リサイクル効率の向上にもつながっています。

特殊缶の取り扱い

上記のほかに、一斗缶やペンキ缶などの特殊な缶があります。

通常のアルミ缶やスチール缶とは異なり、別の日に回収するように自治体から指示が出ることがあり、特にペンキ缶や油の入っていた缶は、残留物が環境に悪影響を与える恐れがあるため、適切な処理が必要です。こうした特殊な缶は、資源ごみとして扱われることもあれば、産業廃棄物や有害ごみとして特別に処理される場合もあります。

洗浄や準備、穴あけのルール

地域ごとに異なりますが、基本缶はゴミに出す前に中身を洗い、ラベルやキャップを外すことが求められます。缶を潰したり、穴をあけたりするかどうかに関して以前はスプレー缶やガスボンベ缶に関しては、完全に使い切ったうえで穴を開ける指示を出している自治体が多くありました。しかし、近年では以下の理由から、穴あけを禁止する自治体が増えてきています。

残留ガスによる爆発や火災のリスク

スプレー缶やガスボンベの中には、完全に使い切ったと思っても微量のガスが残留していることがあります。穴を開ける際に、火花や熱源が近くにあると、そのガスに引火し、爆発や火災を引き起こす危険性があります。特に、ゴミの収集車や処理施設での圧縮工程中にガスが噴出し、火災が発生する事例も報告されています。

専用の処理施設や自動分別機の普及

最近では、穴を開ける必要がなくなってきている背景として、自動分別機や専用の処理施設の技術向上があります。これにより、スプレー缶が穴を開けられていなくても、安全かつ効率的に処理できるようになってきています。これに伴い、穴あけを推奨せず、安全な廃棄を進める自治体が増えています。

中身の安全な廃棄ができる仕組みの整備

スプレー缶やガスボンベの中身の廃棄に関して、専用の回収方法や場所が整備されている自治体もあります。特定の場所で中身を完全に排出できる装置が利用できる場合、穴あけの手間が省かれ、かつ安全に処理されるようになっています。

一般廃棄物における缶と産業廃棄物における缶

一般廃棄物における缶

一般廃棄物として処理される缶の多くは、家庭から出される飲料缶や食品缶です。これらの缶は、リサイクルが可能な資源として回収されることが一般的です。

家庭から出る缶

飲料缶や食品缶は家庭ごみの中でも比較的大きな割合を占めます。特に飲料缶は、日常的に大量に消費されるため、地域によっては定期的な缶の回収日が設けられています。缶は資源として有効活用されるべきものであり、適切に分別し回収に出すことが推奨されます。

家庭での缶の廃棄に関しては、リサイクル意識が高まっており、自治体によっては缶の回収率が非常に高い地域もあります。しかし、依然として不適切に廃棄されることもあるため、正しい分別方法を啓蒙することが重要です。

産業廃棄物における缶

産業活動においても缶は多く使用され、廃棄されることがあります。工場や事業所で使用される缶は、一般廃棄物とは異なり、産業廃棄物として扱われることが多いです。

産業分野での缶の使用

産業分野では、飲料や食品の缶詰以外にも、化学薬品や塗料などが缶に入れられることが多いです。これらの缶は、使用後に適切に処理されなければ、環境に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、有害物質を含む缶は、厳格な処理基準に従って廃棄される必要があります。

産業廃棄物の処理

産業廃棄物としての缶は、専用の処理施設で分別され、リサイクル可能なものは再利用されます。工場から出る缶は、一般家庭から出る缶よりも大規模なリサイクルシステムが整備されており、効率的に再利用されることが多いです。

リサイクルについて

缶のリサイクルは、資源の有効活用や環境保護の観点から非常に重要な取り組みです。特にアルミ缶はリサイクル率が高く、スチール缶やブリキ缶も再利用が進められています。リサイクルは、私たちが持続可能な社会を築くために欠かせないプロセスのひとつです。

アルミ缶のリサイクル

アルミ缶は、ほぼ100%リサイクル可能であり、リサイクルにかかるエネルギーは新たにアルミニウムを精錬する場合のわずか5%程度で済むとされています。このため、アルミ缶のリサイクルは資源の節約だけでなく、二酸化炭素(CO2)の排出削減にも大きく貢献します。

スチール缶のリサイクル

スチール缶もリサイクル率が高く、鉄として再利用されます。スチールは再生が容易で、リサイクルされた鉄は新たな缶、建材、自動車部品などに変わります。スチールのリサイクルも、新規の鉄鉱石を使用する場合に比べてエネルギーの消費を大幅に抑えることができます。

ブリキ缶のリサイクル

ブリキ缶は、鉄をベースにした素材であり、鉄スクラップとしてリサイクルが可能です。ブリキの表面のスズも再利用されることがあり、資源の有効活用が進められています。特に高品質な食品缶などではブリキが使用されることがあり、そのリサイクルは、他の金属素材と同様に環境負荷を軽減します。

缶がリサイクルされることで生まれるメリット

缶のリサイクルには、環境面や経済面で多くのメリットがあります。

資源の有効活用

アルミニウムや鉄は、地球上で限られた資源です。リサイクルにより、これらの資源を新たに採掘する必要が減少し、資源の枯渇を防ぐことができます。また、リサイクルされた素材は品質をほとんど落とすことなく再利用できるため、無駄を減らし効率的に資源を使い回すことが可能です。

エネルギーの節約

缶をリサイクルすることで、新たに資源を採掘・加工する際に必要となるエネルギーを大幅に節約できます。特にアルミ缶のリサイクルは、アルミニウムを新しく作るためのエネルギーのたった5%で済むため、大幅な省エネルギーが実現します。スチール缶でも同様に、リサイクルにより新規製造に比べてエネルギー消費が削減されます。

CO2排出削減

エネルギーを節約することは、温室効果ガスであるCO2の排出削減にもつながります。リサイクルによってエネルギー消費が抑えられることで、製造プロセスにおけるCO2排出量が削減され、気候変動の防止に貢献します。特にアルミ缶のリサイクルはCO2削減効果が高く、持続可能な社会において重要な役割を果たします。

経済的なメリット

缶のリサイクルは、経済的にもメリットがあります。リサイクルによって新しい材料を作るよりもコストが抑えられ、その分、消費者や企業にとっても経済的な利点があります。さらに、リサイクル産業は雇用を生み出し、地域経済の発展にも寄与しています。

廃棄物の削減

缶をリサイクルすることで、埋立地に廃棄されるごみの量を大幅に減らすことができます。リサイクル可能な缶が一般ごみとして廃棄されると、環境への負荷が増大し、埋立地のスペースが早く埋まってしまいます。リサイクルによってごみを減らすことは、持続可能なごみ処理システムの確立にもつながります。

リサイクルの未来

缶のリサイクル技術は進化を続けており、今後ますます効率的で環境に優しいリサイクルプロセスが期待されています。また、消費者のリサイクル意識が高まることで、缶の回収率や再利用率も向上し、持続可能な資源循環社会の実現が近づいています。

缶は、単なる使い捨ての容器ではなく、リサイクルすることで何度でも新しい資源として生まれ変わります。私たち一人ひとりが適切な分別とリサイクルを心がけることで、環境保護や資源の有効活用に大きく貢献できるのです。

アクト・エアの取り組み

アクト・エアでは、事業活動に伴って排出された缶の回収・処理を行っています。私たちは、本社工場に届いた缶を、自動分別機を用いて分別し再利用が可能な状態にしています。このプロセスを通じて、環境への配慮を行いながら、リサイクル事業に取り組んでいます。

また、私たちはお客様のニーズに応じて、実際に排出場所に訪問し、廃棄物の種類や量を確認した上でお見積もりを提供いたします。廃棄物の処分に困っている方や、リサイクルやSDGsに貢献したいと考えている方は、ぜひアクト・エアにお問い合わせください。私たちがしっかりとサポートいたします。

まとめ

缶はその用途や発生場所に応じて、一般廃棄物または産業廃棄物として扱われます。正しい分別とリサイクルの実践によって、環境への負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けた一歩を踏み出すことができます。私たちの小さな行動が、大きな変化を生むことにつながります。これからも、缶のリサイクルに対する理解を深め、一緒に持続可能な未来を築いていきましょう。

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